「とりあえずHPエピソード大賞2019」に
多数のご応募をいただき
誠にありがとうございました。
中小企業や個人事業主の皆さまをサポートさせていただくために生まれた簡単ホームページ作成ツール「とりあえずHP」が、ユーザーの皆さまに感謝を込めて開催する「とりあえずHPエピソード大賞」。2019年度は皆様に『小さな挑戦』をテーマにしたエピソードをご応募いただきました。大変すばらしいエピソードを多数お寄せいただき、審査員・スタッフ一同、心を熱くいたしました。誠にありがとうございました。
最終審査の結果、グランプリ、準グランプリ、佳作、そして新たな賞として、審査員特別賞、おまかせプラン特別賞を選出させていただきました。
賞を受賞されたエピソードを以下に発表させていただきます!
皆さまの日ごろの「がんばり」を「栄誉」に変え、また、そのエピソードが同じようにさまざまな事業を営まれている方にとっての原動力になれば幸いです。
グランプリ[大賞]
骨のあるチーズ屋さん(株式会社ももい)/ももい接骨院 百井 和浩 様
作品タイトル:『スモークチーズ事業(副業)の創業 と それが教えてくれたもの』
私は石川県小松市という小さな田舎町で接骨院を営んでいます。
接骨院を開院して8年、多くの患者さんに恵まれ経営も順調。患者さんからも毎日『ありがとう』と感謝の言葉をいただき、地域医療の一端を担う人間としてとても充実した日々を送っていました。
しかし、接骨院の経営にも慣れ余裕も出てきたのか、いつも自分の中にもう少し何か新しいことに挑戦したいという気持ちを持っていました。
そんな私の唯一の趣味が燻製作りです。
この燻製づくりも患者さんからスモークチーズをいただいたことがきっかけで始め、元々
食べることが大好きな私は究極のスモークチーズを求め毎週末、試行錯誤に励み、それを友人や家族と食べることが楽しみでした。
こうして燻製づくりを趣味として試行錯誤していくうえでとても驚いた事実があります。
それは、一般的に市販されているスモークチーズの多くは煙で燻されたものではなく、くん液と呼ばれる化学薬品の液体にチーズを浸し乾燥させただけのスモークチーズもどきであるということでした。
スモークチーズの成分表示を見てもわかりますが、チーズをカットしたときの断面を見ても水分の飛び方で本物か偽物かは簡単に判別できます。
百貨店のある程度、高価格帯のスモークチーズでさえこのような製造方法で作られた製品であることが多く、一般の方はどこへ行けば本物のスモークチーズを購入できるのだろうと考え、自分なりに調査するようになりました。
そして、その答えは『どこへ行っても買えない』というものでした。
すると自分の中に本物のスモークチーズを体験したことのない方々に本物のスモークチーズを知って頂きたい!スモークチーズ屋さんを始めたい!という気持ちが強く芽生えました。
その思いを妻や飲食店を経営する友人に伝えると妻からは『あなたのチーズは最高!あなたの夢は私の夢』と言う言葉をもらい、友人からは『是非、うちの店で出したい。販路は全力でバックアップする』という言葉をもらい自分自身にスモークチーズ事業を創業する勇気が湧き、創業を決意しました。
スモークチーズ事業の起業に際し乗り越えなければならない壁はいくつか存在しその中でも一番大きな壁は保健所の許可でした。
プロセスチーズを燻製にするだけとはいえ飲食店営業許可や惣菜製造許可ではスモークチーズの製造販売は認められず、乳製品製造業という検査設備や専用の衛生基準を満たした部屋を設置しなければならいという大きなハードルが存在しました。
私ははじめにそれを聞いた時、初期投資の大きさに断念しようと思いました。
しかし、妻は『同じような悩みを持ちクリアした人がどこかにいるはず』と前例を検索し始め食品衛生法の分厚い本を読み始めました。
こうして妻主導で保健所との交渉が始まり、保健所の職員さんも何度も何度も通ううちに顔見知りになりとても親切に私達の夢の実現に向け力を貸してくださいました。
そして、はれて乳製品製造業の許可証をいただいた時には妻と二人で手を取り合い子供のように飛び跳ねて喜んだことを今でも鮮明に覚えてます。
そして、乳製品製造業としてスモークチーズの製造販売を始める中で自分自身の心の変化に気づきました。
私はこれまで自分一人で接骨院を経営し、その収益や結果にとても満足していましたし、それが自信となり喜びでした。
しかし、上司も叱ってくれる人も存在しない小さな組織の中で、いつしかその自信は傲慢に変わり、『今の成果は自分一人の力で得られたもの』という大きな勘違いの下、どんなアドバイスにも耳を傾けず、自分以外は信用しない、全部一人でやるというとても孤独な人間になっていました。
しかし、スモークチーズ事業は私にとって未知の世界であり全て誰かの力に頼り、教わり、感謝されるよりも感謝するという接骨院とは全く逆の状況でした。
そして、人を信じ、助けてもらい、それに対し深く感謝するという毎日の中で私は、スモークチーズ事業だけではなく全ての事に心から感謝できるようになり、スモークチーズ事業創業前に抱いていた不安という感情はいつしか全て感謝という感情に変わっていました。
これからは収益や結果だけにとらわれることなく事業本来の目的である『本物のスモークチーズの普及』と『お世話になった方々への恩返し』を理念に楽しむことを忘れず頑張っていこうと思います。
準グランプリ
NPO法人はらから 片原 圭子 様
作品タイトル:「みんな一緒」のはらから
重度の知的障害のある中高齢者が、一生安心して楽しく暮らせる家を作りたいという思いから立ち上げたNPO法人はらからは、平成30年3月にグループホーム(グループホームはらから)と生活介護事業(デイサポート和音)、短期入所事業(ショートステイ和音)、日中一時支援事業(デイステイ和音)を開所しました。
現在、1年10ヵ月が経過し、グループホームは満床となり、生活介護も毎日定員の20名を超える障害者が利用されています。
現在もまだまだ試行錯誤の連続の毎日ではありますが、デイサポート和音の利用者支援についてご紹介させていただきます。
デイサポート和音の利用者さんは重度の知的障害者です。
色々な方がいます。
自閉スペクトラム症で環境の変化に弱く不安定になってしまう方、ルーティンを崩せない方、外へ飛び出してしまう方、・・・そのような元気溢れる方がいる一方で、移動が困難な方、介助がないと歩くことが出来ない方、すぐに横になってしまう方、絶対に外に出たくない方等、特性を挙げたらきりがありません。
思いを言葉で伝えることが難しく、初めの頃は机やいすが宙を飛ぶようなことも日常茶飯事でした。
何もかもが手探りでスタートしましたが、一貫して行っている「小さな挑戦」があります。
それは「みんな一緒」です。
お花見、スポーツ大会、ブルーベリー狩り等、行事として行う外出はすべて、利用者・職員全員が参加します。路線バスや電車等の公共交通機関や公用車に分かれての民族大移動になります。
「歩けるだろうか。」「車から降りられるだろうか。」「建物に入れるだろうか。」「動けなくならないだろうか。」「大きな声を出さないだろうか。」という支援への沢山の不安と課題を抱え、係の職員は企画をし、シュミレーションし、引率職員に根回しをし、外出を決行します。
小さな失敗も沢山ありますが、皆が行事を終えて外出から戻ってきたときの、達成感、やり切った感は、日頃の支援では味わうことのできない感動です。
「全員で行く。」と決めることは、「行けない。」という選択肢をなくし、「行くためにはどうしたら良いのだろう。」という知恵と工夫を絞り出すことになります。その過程が職員の支援のスキルを上げることにつながるのです。
今度はどこに行きましょうか。
これからも利用者と共に楽しみ、人生を一緒に歩んでいくはらから(仲間)でありたいと思います。
審査員コメント
高齢者・重度障がい者が増え続ける中で、社会的なニーズの高いお仕事をされていると感じました。「全員で行く」と決めることで知恵と工夫を絞り出す……最後の一文が素晴らしかったです。
小さな挑戦である「みんなで外出」は、実は「みんなで人生を一緒に歩んでいく」という覚悟を示すことでもありました。
外出にまつわる具体的なエピソードがあったら、より情景が浮かぶ、惹きつけられる作品になるのではないかと思いました。毎日の現場に、きっと輝く物語がたくさんあると感じます。
審査員:守山 菜穂子
中高齢の重度知的障がいをお持ちの方を支援するNPO法人、はらからさん。そこでの「小さな挑戦」は「みんなで一緒に外出する」ということ。文面には書かれていませんでしたが、恐らくリスクを考えて反対する声もあったのではないでしょうか。素晴らしいと感じたのは、この「みんなで一緒に外出する」という取り組みは、第一にサービス利用者の方のためでもありますが、それを裏側で支えるスタッフの方々のスキルアップも兼ねているとのこと。「みんな」の成長を育む仕組みでもあるのです。そう考えると小さいようで、小さくない、限界に挑んだ取り組みだと思いました。挑戦のその後にもとても興味があります!
審査員:磯木 淳寛
受賞者コメント
この度は素晴らしい賞をありがとうございました。
前例がないと言われるなか、重度障害者の方が生活できる施設を作るために、NPO法人はらからを立ち上げました。
何もないところからのスタートでした。
事業を開始するにあたり、法人の思いを伝えるために、とりあえずHPさんでHPを開設させていただきました。
今回の応募作品は、はらからの取り組みの一部を、ありのままに綴ったものです。
はらからの一部である、とりあえずHPさんから、作品(取り組み)を評価いただけたことが心から嬉しいです。
日頃から支えてくださっている皆さんとこの喜びを分かち合いたいです。
本当にありがとうございました。
NPO法人はらから 片原 圭子 様
株式会社水戸紙店 長谷川 徹 様
作品タイトル:新たな「出会い」と「出会い」の橋渡し
突然ですが、皆さんの家には「襖」はあるでしょうか?
私より少し若いくらいの方の中には、この漢字の読み方もわからなければ見たこともない、という方もいらっしゃるようです。
では、あると答えた方にもう一つお聞きします。その襖が破れたときはどこにお願いして直してもらいますか?
私の小さな挑戦は『この質問に疑問符が付いた方と職人さんの出会いの橋渡しをする』ということです。
とあるご縁を頂き、私が襖材や障子紙といった和素材を職人さんに卸す問屋で働き始めて2年ほど。もともとのホームページを作成したきっかけは自分自身の勉強(すぐに見返すことができる備忘録として)のためと、常時取扱商品を写真で載せておけば職人さんがすぐに確認出来て便利ではないかという想いがあったからです。
さっそく写真を撮り集め、完全とはいかずとも自分なりに満足のいくものを作り、職人さんたちに『ホームページを作成しました』と宣伝して廻ったところ、思いがけない言葉が返ってきました。
『パソコンもスマホも持ってないから見られないよ』
その瞬間、自分の考えがなんと独りよがりだったのかという衝撃を受けました。考えてみれば襖店・表具店様は熟練の方が多く、私のような20代・30代という方は殆どいらっしゃいません。加えてホームページ等のネット媒体の広告を持っていない方が大半です。
そして、生活様式の変化により年々和室というものが減り、職人さんも「年々仕事が減って寂しくなってきているよ」という背景。
それらを考えた時、別の想いも浮かんできたのです。『多くの職人さんがインターネット関連の武器を持っていないのであれば、この部分は私たちが代わりに力になれないだろうか』と。
考えたのは「職人さん紹介サービス」。これは弊社のある県内で襖や障子を張り替え・新調希望のお客様に、お住まい地域などから、お付き合いがある中でお近くの職人さんを紹介する、というサービスです。単純ではありますが、インターネットで検索しても出てこないけれど、実はお住まいのすぐ近くに職人さんがいることを、なんとか知ってもらえないだろうかという強い想いがあります。
まずは一人でも多くの方に興味を持って見てもらえるようにと、ホームページ内容のブラッシュアップと、とにかく頻繁に面白そうな情報を更新することを心がけました。その甲斐あってか数か月後には「岐阜 ふすま張替え」で検索した際に、検索ページの1ページ目に出てくるまでになりました。
ちょうどそれくらいの頃でした。事務所に鳴り響く一本の電話。「ホームページを見ました。障子の張替えをお願いしたいのですが……」受話器を持つ私自身の手が震え、声がうわずったのを今でも覚えています。しどろもどろになりながら紹介した職人さんとのお話もうまくまとまったようで、実際に張替えに至りました。職人さんも本当に問い合わせがあったんだねと驚いていたのが印象的でした。私自身はもっと驚いていました。「紹介サービス」を始めなければ恐らく無かったであろう「出会い」の橋渡しができたのです。
その後も何人もの方から「紹介してほしい」というお問い合わせを頂きました。実際に施工に至ったもの、見積もりだけで終わってしまったもの、いくつかありましたがそれでもお問い合わせを頂けるということは本当に本当に嬉しいことです。
とはいえ、お問い合わせは多くても月に1回か2回程度と、まだまだ満足のいく結果は出ていません。これからもより多くの方に出会い、喜んで頂くために、ホームページを通して様々なサービスを発信していくつもりです。ただ、その過程でどんなにホームページの内容が拡大していったとしても、これは忘れません。
原点は、『お客さんと職人さんの出会いの橋渡しをしたい』ということを。
審査員コメント
「?」が「!」に変わる。ホームページを持つ「前」と「後」で起きた変化を、ゆかいに明るく表現しているところを評価いたしました。
パソコンやスマホを扱うことが少ない「ふすま職人さん」と、ふすまを張り替えたい一般ユーザーを、水戸紙店さんがホームページを使ってマッチング。この事業アイデアは、日本文化を継承するという社会的な意義があると感じました。ホームページが、単なる告知や宣伝用ではなく、事業の核になっているところも、加点ポイントでした。
ふすまの知識・情報がふんだんに掲載されている、情熱あふれるホームページは、人の役に立ちます。さらに贅沢を言えば、美しいふすまの写真をもっと掲載し、ビジュアルでもふすまの魅力を伝えていくと「また見たいホームページ」に繋がると感じます。
審査員:守山 菜穂子
生活様式の変化により襖(ふすま)紙や障子(しょうじ)を使った和室が減少する中、新たな視点で商機を見出そうとする姿勢が素晴らしいです。
そして、その活動が「年々仕事が減って寂しくなってきているよ」という職人さんの生の声を受けて、思いついたアイデアであることも素敵だと感じました。ホームページを活用することで、職人さんとお客さんをつなげる「小さな挑戦」は、単なるマッチングという意味合いのみならず、日本文化を守っていく活動にもつながります。「応援したい」と心から思うエピソードでした。ホームページも情報が充実していて、和素材に対する情熱を感じます。
審査員:永井 史威
受賞者コメント
このたびは、とりあえずHPエピソード大賞2019準グランプリという栄誉ある賞に選出いただいたこと、大変嬉しく思います。
ホームページを開設して1年半ほどになりますが、こういった形でこつこつと積み上げてきたものを評価していただけたということが、今後の大きな励みになります。
これを弾みにして、2020年はより一層、ホームページを通して多くの方々に出会える年にできればと想っております。
このたびは本当にありがとうございます。
株式会社水戸紙店 長谷川 徹 様
合同会社清流日本/株式会社ハルカインターナショナル 野村 克之 様
作品タイトル:唇よ、熱く明日を語れ? 丸の内地下通路の露天商
「会長、東京に出ます」。岐阜の地方新聞の役員まで務めさせて頂いた私。ひょんなことから10年前、有機JAS菌床キノコメーカーの経営者と知り合う。事業と経営者の生きざまに魅せられ、定年を待たずに会社を退職。かと言って農場で、何を手伝うあてもなく、「そうだ、東京に出よう」。40年前、学生として無軌道に過ごした都会に、何か、忘れ物を取りに行きたいという思いもあった。
農場から送ってもらったシイタケを、丸の内地下通路のマルシェに並べた。60歳に手が届くオッサンが、何を売るのか。恥ずかしくもあり、てらいもある。「シイタケですよ」。そりゃ当たり前の口上だろう。おまえは、お客さんに何を伝えたいんだ。自問自答が続く。
「わあ、実が詰まってる感じ、このシイタケ」。女性客が声を上げた。干しシイタケの香りをじっくり楽しむお客さんの姿もある。そうか、商品の特色を話すんだ。当たり前の口上すら、分からないで悩んでいた自分が情けなかった。
三か月が経った。お客さんとの会話の中で、お客さんが特色だと感じたことを、そのまま伝えるようになる。「お客さん、ほら、シイタケを強くつまんで」。「どう、干しシイタケ、いい香りでしょ」。小さな小さな成功体験が出来た。そうだ、場所を変えてみよう。
青山ファーマーズマーケット。オーガニックな農産物などが集まり、客の目利きも厳しい、という。葉物の農産物の出店が大半で、キノコだけの出店はない。ならば、出品物はピンでいこう。この方が特色が出る。開店早々、お客さんが「どうして、キノコが有機JASなの、キノコなんて農薬使うの?」。ストレートな質問が飛んでくる。
出店早々だった。若い男性が寄って来た。「なんか、オジサンとこが一番キラキラしてるよ」と。また、冬の暮れ方、閉店間際だった。欧米人のグループが、並べたシイタケの匂いを何度も何度も嗅いでいる。「これ、レストランで調達させて下さい」。聞けば、世界一のレストランの称号を持つコペンハーゲンの超有名レストランの「日本ブランチ」で、開業前に日本の伝統農産物を探し歩いている、という。
マルシェのキノコ露天商は今年で三年目。インバウンド客、都内在住の外国人にも口コミが広がってきた。おかげさまで、リピーター客だけで、出店品がさばけていく。商品の特色も、お客さんのニーズも分かってきた。海外の人たちからも、是非、自国で売ってくれ、作ってくれ、というオファーが続く。お客さん一人ひとりの声が、すべて、貴重な情報だということも実感できるようになった。生産者、流通、消費者それぞれのミスマッチな現況と商機も、現場だからこそ体得できるようになった。
唇よ、熱く君を語れ(音符記号)。ちょうど40年前、学生だった時のヒット曲がテレビCMでリメイクされている。白髪のオッサンはいま、一日中でも、キノコの魅力や事業の明日の姿を語ることができる。40年前より若い、と思う自分がいる。きっかけは丸の内、地下通路の露店に立ったことからだった。
審査員コメント
文章に一筆書きのような勢いがあり、最初から最後まで一気に読みました。意思の強さを感じる文体に惹きつけられてしまいます。その勢いの一方で、エピソードからは、「有機JAS菌床の生しいたけ」を日本に、いや、世界に広めるためにトライ&エラーを繰り返していることが感じられました。「自分がやっていることが通じなくて情けない」→「さて次はどうしよう」という繰り返しの中で、徐々に階段を上り、ついには日の目を見ていくというストーリーが素晴らしい。いくつになってもチャレンジできる。同年代の多くの方が励まされると思います。「ぜひこの人に会ってみたい」そう感じるエネルギーあふれるエピソードでした。
審査員:永井 史威
いくつになっても新しいことを始めるときは、わくわくと同時に不安もつきまとうもの。丸の内地下通路にシイタケを並べ始めたときの、心細かったであろう気持ちの揺れが臨場感をともなって伝わってきました。お客さまの反応を一つひとつキャッチして、自分の口上に取り入れていったエピソードも、しっかりとアンテナを立てて販売につなげていく信念が芯にあったからこそだと思います。「学生の頃過ごした都会の忘れ物」は、もしかすると青春そのものだったのではないでしょうか。そう考えると、「今が40年前よりも若い」ということにも合点がいきます。ある程度の年齢になると、メラメラと若い炎を燃やすことに照れも生まれますが、「これをやるんだ」という思いと行動に心を打たれました。刺激を受けました。実がつまって香りのいい干ししいたけ、ぜひ食べてみたいです。
審査員:磯木 淳寛
受賞者コメント
誠に有難うございます!定年を前にサラリーマンを辞め、岐阜の田舎から東京へ。60のオッサンにしては、冒険でした。丸の内の地下通路でシイタケを売り始めて、ちょうど3年。いい節目で、受賞という栄誉を頂きました。まず、自分の家族に、ドヤ顔ができるのがうれしいです(笑)。
昨年秋からは唯一無二の有機JAS菌床キノコメーカー、ハルカインターナショナルの雇われ社長に就任しました。また、このキノコメーカーの循環型農林業の可能性を企画する、個人事業会社、合同会社清流日本の代表という2本立てで、2030年までの行程表をつくっています。全く、日の目をあびない日本の森林資源、雑木をキノコ菌床にして、中東に輸出し、栽培したキノコは現地マーケットで販売、菌床は砂地の堆肥として砂漠緑地化ビジネスにする。
そんな夢を、必ず実現させます。アマゾン本「砂漠緑地化ビジネス」を御高覧ください。コマーシャルでスミマセン。
小さな、挑戦、重ねていきます!
合同会社清流日本/株式会社ハルカインターナショナル 野村 克之 様
審査員特別賞
最終審査を通じ、大賞・準グランプリには至らなかったものの、審査員から高い評価を受けた作品、あるいは、継続して当アワードにご応募いただく方の中で、事業や取り組みが年々発展している様が伝わる作品を対象に「審査員特別賞」を創設致しました。
毛豆菜園 緑八(みどりや) 鈴木 正美 様
作品タイトル:その風に逆らわず歩んで行こう
青森県産毛豆をホームページで販売したいと思ったのが3年前。「とりあえずHP」で毛豆は売れるかな?半信半疑からの挑戦でした。
今年も春から野菜栽培を始め、休日や仕事帰りに畑仕事をしながら日常を過ごしていました。6月には毛豆の種まきをし、7月になると毛豆の背丈も高くなり順調に生長していきます。今年は毛豆の栽培数を昨年の約2倍に増やし、リニューアルオープンした地元の直売所とも契約しました。販路をまた1カ所増やしたことになります。
8月になるといよいよ毛豆の予約受付開始です。昨年購入頂いたお客様にはメールの配信も行いました。「あれっ!このお客さん去年も買ってくれたよね!」「今日は奈良県と北海道から予約が来たよ!」「愛知県のこの注文って初めてのお客さんだよね?」うれしくて家族の会話も弾みます。今年も最初の予約メールが届いた時は本当にほっとしました。
毛豆は9月中旬から収穫が始まり約2週間で収穫が終わります。ご注文頂いたお客様へ旬の毛豆を無事に届けることができ安堵しているところです。また、多くのお言葉も頂きました。「とても美味しかったです。」「来年もお願いします。」等々。
ここまでみると順調に進んでいるように思えますが、サラリーマン農家は休みがありませんし、販路を増やすのも容易ではありません。ましてや自然災害には勝てません。ここ弘前は春から雨がほとんど降らず、猛暑により毛豆の収穫ができないのではと不安になった時期もありました。農業はギャンブルであるとはよく言ったものです。自然が相手ですので、全てがうまくいくわけがありません。いいこともあれば悪いこともあります。そこを乗り越えた先に何かいいことがあると信じて行動するのみです。
種苗屋さんの情報誌に書いていた私の好きな文章です。「販売先が足りなければ開拓すればよい。農地が足りなければ増やせばよい。人手が足りなければ採用すればよい。そのための知識がなければ学べばよい。経験がなければ行動すればよい。」一つひとつが挑戦なのです。今、私の背は弱風ながら追い風が吹いているのを感じています。今はその風に逆らわず歩んでいこうと思っています。
最後に、今年のホームページでの毛豆の販売数は、昨年の約3倍でした。自分でもびっくりしているところです。さらに驚いているのが、去年購入頂いたお客様全員が今年も購入してくれたのです。リピーターになってくれたのです。まだまだ知名度が低い毛豆です。逆に考えると、ビジネスチャンスは無限なのです。ブランドとして大手通販サイトで大量に毛豆を販売している農家さんもあります。ですが私は、一粒ひと粒に愛情を込め、一人ひとりのお客様の声を大切にしていれば、栽培している全ての毛豆をホームページで完売できる日がいずれ訪れるのではないかと考えています。最初は小さな挑戦でしたが、もしその日が訪れた時は収穫時期にアルバイトを雇い家族の負担を軽減したいと思っています。結果、「とりあえずHP」で毛豆は売れました。恵みの雨も降ってくれました。さぁ、来年も美味しい毛豆をお届けしますよ
審査員コメント
昨年度の準グランプリ受賞者である緑八さん。今年は毛豆の栽培数を昨年の約2倍に増やし、販路も増やしたそう。売れなければロスになってしまうことを考えるとまさに「挑戦の年」でしたね。そしてさらにホームページから昨年の3倍も売れたとのこと。結果がちゃんとついてきていることがエピソードから伝わりました。「よし、やってみよう」と思ったことを実際にやり切ることは容易いことではありません。信念と実行力、強さを感じました。エピソード中にあった”背中に「追い風」を感じる”という表現。たとえ無風状態であっても「えい!」と走り出せば風が吹いてくるものですね。次回は、ぜひ緑八さんの毛豆をブランド化するチャレンジをしてほしいです。これからどうなっていくのか、来年を楽しみにしています。
審査員:磯木 淳寛
受賞者コメント
この度は審査員特別賞に選んで頂き誠にありがとうございます。「とりあえずHP」を活用して今年で4年目になります。毛豆通販という熱中できることを見つけてから、今まで経験したことのない楽しさとやりがいを得ることができ毎日が充実しています。今この瞬間も毛豆のことを考えている私ですが、今回の受賞を励みにこれからも全国のお客様に美味しい毛豆をお届けできるよう頑張りたいと思います。これからも「みどりや毛豆」をよろしくお願い致します。この度は本当にありがとうございました。
毛豆菜園 緑八(みどりや) 鈴木 正美 様
寺子屋の里 大西 里実 様
作品タイトル:小さな教室から広がれ私の想い
私は、滋賀県彦根市で「寺子屋の里」という、江戸時代の寺子屋をモチーフにした学習塾を経営しています。毎日、小学生から高校生までの子どもたちが、自分たちの学習道具を持参して勉強に取り組んでくれています。
今年度私が挑戦したことは、動画配信サービスを初めてみたことです。私の学習塾には、近くの生徒から遠方から来てくださっている生徒が在籍しています。また、HPを見たり、座談会に参加してくださっている保護者からも支持していただいています。ここ数年、たくさんの教育についてお話しをする機会を通して、距離的に通塾が難しい子どもや、経済的に通塾が困難な子どもがいる現状を目の当たりしてきました。また、学校などで友達関係に悩み学校に足を運ぶことが難しくなっている子どもと接する機会が増えてきました。この子どもたちと話せば話すほど、勉強が嫌いな訳ではなく、むしろ勉強したい気持ちが強いことに気付きました。そこで、私は自宅でお金をかけずネット環境さえあればいつでも学習出来るようにネット教材を配信することを始めました。
最近の子どもたちは、私よりもネット環境に対して抵抗が少ないのか、動画配信サービスを始めたところ塾に来る前には、復習を兼ねて動画を見てくれるようになりました。その結果、授業の理解度が深まってきました。私自身も、動画作成が初めてなので最初は手探り状態からスタートしました。1つ配信するごとに、子どもたちから感想を聞き、分かりやすかった点や分かりにくかった点などを指摘してもらいました。このとき、私は子どもたちからまだまだ教わることがあるのだと改めて気付かされました。授業内容の動画だけではなく、当塾に通塾出来ない生徒のために、小テスト問題も作成することにしました。定期テストや高校入試に出題されそうな、漢字テストや英作文問題を中心に配信しています。
私は、授業の中でよく子どもたちに、「諦めずに挑戦を続けなさい。」と言い続けています。志望校に入ることが全てとは思っていません。受験勉強を通して自分自身を見つめて立派な大人になるように日々、自分自身と向き合って欲しいと思っています。私自身子どもたちに言うだけでなく、自分自身も挑戦しないと子どもたちのお手本になれないと考えています。
挑戦することによって、新しい発見があり日々の授業を楽しく行えるようになってきました。子どもたちも、新しい勉強ツールが増えてより前向きに勉強に取り組んでくれているように感じました。挑戦することは、すぐに上手くいくことはなかなかありませんが、挑戦するからこそ見えてくるものがあると思いました。子どもたちの志望校合格、成績の上がって喜ぶ顔をこれからも見続けていきたいので、私も子どもたちと一緒に挑戦しつづけていきたいです。
審査員コメント
学習塾「寺子屋の里」さんの小さな挑戦は、ネット上で使える教材や、授業内容の動画を作成し配信すること。経済的に通塾困難な子どもであっても、自宅でお金をかけずに学習できるという、インターネットならではの利点も発見されました。
寺子屋に通う子どもたちは、事前に動画を見てからやってくるので、学習効果も高いとのこと。これは、まさに話題の勉強法「反転学習」ですね。
ホームページは、スマホで見やすいよう工夫されており、塾の生徒さんや、保護者のライフスタイルに寄り添っていると感じました。子どもの生活に対しても、教育者としての優しい視点や、配慮が随所に感じられるエピソードでした。
ホームページという良き道具を得て、学び合い・教え合いと心で寄り添う「寺子屋」を、これからも続けていって欲しいと感じました。応援しています!
審査員:守山 菜穂子
受賞者コメント
この度は「審査員特別賞」に選んでいただきありがとうございます。
2年連続“挑戦”して良かったと思っています。
私は、子どもたちや子育てに悩まれている保護者たちの相談場所になればと思いHPを立ち上げました。
独立して6年目になりましたが、独立当初は全て1人ですることに不安を感じていましたが、子どもたちとともに日々成長しながらここまでやってきました。
子どもたちの“笑顔”が私の活力の源となっています。
この賞を受賞したことを子どもたちに伝えたとき、自分たちが受賞したかのように喜んでくれたので嬉しかったです。
この度は本当にありがとうございました。
寺子屋の里 大西 里実 様
訪問はりきゅう・マッサージ 和・彩・日 千葉 沙紀 様
作品タイトル:こども連れ大歓迎で治療を
私にとっての小さな挑戦は、日々の治療です。
私は女性をメインに出張専門で鍼灸・マッサージで患者さんの治療にあたっています。
また、縁があって保育園の保育室の一室をかりての出張サロンを定期的に開いています。
自分自身、妊娠・出産を経て子育て真っ最中であることもあり、同じ目線で患者さんのサポートを何かできるのではと思ったのが開業のきっかけでもあります。
「こどもが一緒でも気兼ねなく」この言葉は自分にとって、とても重いものです。
母になってみて、誰かにこどもを預けてまで自分の身体のケアをしたいかというと、そこまでするほどでもないかな…と思っている方は結構多いのではないかと思うようになりました。
特にこどもの月齢が低くなればなるほど、身体はしんどいのに、自分の身体を省みる余裕もなく、日々を乗り切ることで精一杯になりがちです。
私は自分で開業して1年半程になりますが、「こどもが一緒でも大丈夫」ということを実際に実現できていると言えるようになったのはごく最近な気がします。
最初のうちは、訪問でも出張サロンでも、生まれて2、3ヶ月くらいの子がずっと泣き続けてしまい、かえってお母さんに肩身の狭い思いをさせてしまっているようで、
「リラックスしてマッサージも受けられないのか…」という、虚しさを与えるくらいなら「こども連れでもできます」なんて言わないほうがいいのではないか。と自問自答の日々でした。
…ですが、自分を頼ってくれているのだからそれに応えられるように精一杯治療したいという思いは強く、日々の苦い経験を糧に小さな工夫をしていくことにしました。
まずは患者さん(お母さん)の治療をする前に問診をしますが、問診の時間をどれくらい取るか、問診だけしてこどもの機嫌の変化で、患者さんの治療の時間がなくなってしまっては本末転倒。その患者さんにとっての最低限の問診にして、あとは治療しながら問診をしていくという臨機応変さをもつように。
治療自体も、マッサージなら最低限つらい場所から始めて、時間が許すなら範囲を広げて、できるなら全体のバランスを…というように治療の順序の工夫を。
鍼灸の場合は、もともと刺したままにしない鍼治療をやっているため、こどもが乗っかってきて治療が中断しても安全な範囲での対応が可能であるということを活かして、お子さんのご機嫌や行動に気を配りつつ治療に集中を。
最近では治療の中断なんてどんとこい!という感じで、患者さん(お母さん)・こども・治療者(自分)で一つのチームになった気持ちで治療をすることが大切なんだなということがようやく身に染みてきました。
こどもと一緒の治療はなかなか一筋縄ではいかず、リラックスと緊張は対極の意味ですが、いつそれが変化するのかわからない状態がこどもと一緒の空間で治療を受けるということです。
お母さんの「こどもと過ごす時間を大事にしたい」という思いを尊重しこれからも日々の工夫を積み重ねて、少しでも楽に生活を送るお手伝いをしていきたいと思います!
審査員コメント
継続的な発展と努力を感じるエピソードでした。昨年も準グランプリを獲得されましたが、今年は、昨年とは異なる「小さな挑戦」を知ることができました。”子連れでマッサージを受けられる”ということはニーズが高いのにもかかわらず、あまり存在しないサービス。社会的に求められているというところも含めて評価致しました。また、問診のやり方など、「子連れだからこそ」の細かい工夫をされています。やってみて、つまずいてまたチャレンジして…とトライ&エラーをしながら、でも確実に前に進んでいるところが素晴らしい。ホームページも上手に作られています。読みやすく、サービス内容とデザインテンプレートが合っている。誠実で優しいお人柄が感じられます。今後ますます人気が出そう!応援しています。
審査員:永井 史威
受賞者コメント
この度は、審査員特別賞を頂き、ありがとうございます!
訪問はりきゅう・マッサージ 和・彩・日として、患者さんのために続けてきたことが、このような形で賞を頂くことに繋がり、自分の取り組みを応援して頂いて本当に嬉しいです!
これからも患者さんに寄り添い、治療を通じて、日々の暮らしをサポートできるように努めていくとともに、もっと身近に・親しみやすく・利用しやすい雰囲気で治療を受けてもらえるように、日々考え続けていきたいと思います!
名誉ある賞を頂き、本当にありがとうございました!
訪問はりきゅう・マッサージ 和・彩・日 千葉 沙紀 様
佳作
東誠三友の会 鈴木 信成 様
作品タイトル:雌伏20年、念願のHPが実現(76歳のチャレンジ)
小生が、クラシック・ピアニスト東誠三氏のファンクラブを立ち上げて20年になる。この間、何度このファンクラブ(友の会)のHPを作ろうと思い、挫折したことだろうか。
私は76歳の老人であるが、現役時代は20年近く中小企業2社を経営、退任後も現在に至るまで、幾つかの会社の経営に携わってきた。こうした会社の経営会議で時々課題に挙がるのが、自社のHPをもっと魅力的に出来ないか、安く出来ないか、頻繁にアップデート出来ないか、という具合である。
中小企業にとってHP関連費用は割高感あるものの、会社の経費に占めるHP関連費用は小さく、HPの効果性を考えると、不満ながらも結果的には開発業者に委託したのであった。
一方、ボランティアで「東誠三友の会」を20年前に立ち上げた2000年はHPは既に大手企業では導入が始まり、マーケティング効果の大きさが注目されていた。更に数年経つと、チケットの受注や緊急アナウンス等、旬刊会報ではカバーが出来ない活動が多くなると、HPの必要性をひしひし感じ始めた。
何とか安く制作出来ないか、手軽にアップデート出来ないか、がいつも頭の片隅に置かれ続けた。しかし会員数100人程度のファンクラブの財源は知れたもの、HP費用の捻出は絶望的であった。
私は比較的IT機器に親しんできたこともあって、一念発起して自分で創ろうと、HTMLの本を買った迄は良かったが、当時の60歳の身には絶望的で、その後現役を退き時間的余裕が出来るたびにその手の本を買ったりしたが、断念してきた。
昨年「友の会」が創設20周年の企画を検討していた時、ピアニスト東誠三氏の音の美しさと真摯な演奏をもっと多くの人に伝えるためにはどうしてもHPが必要、と再びHP案が浮上したのである。 5年ぶりにHP作成に関する情報をネット上で調べてみると、この間のITサービスの進展は目覚ましく、簡易なアプリケーションが数種類あることが判明。そして選んだのが「とりあえずHP」である。
一か月のトライアルで試行錯誤をしている内に「これはいける!」と確信した。背景にはトライアル期間中に疑問に思ったことをメールベースで頻繁に質問したり、原宿の対面指導のセンターに足を運んだことがある。
これらを通して「とりあえずHP」が持つ技術的なポテンシャルの高さと、丁寧かつ親身なアドバイスと対応に感銘を受けたことが大きい。お蔭様でこのHPもこの1月中旬から公開し、幹事達から大好評を博し、事務の手間が削減され、念願のHPが叶ったたと喜ばれている。この2月からは全会員にも告知する予定でその反応が楽しみである。
原宿のサポートセンターに行ったとき、小生の76歳の年齢を告げ、「私にも作れるか?」と質問した時、驚いたような、心配そうなご担当の表情が忘れられない。
「人生100年時代、幾つになっても挑戦心を失わないことが大切」と勤務先で言いっていた事を自ら実践したことに、ほくそ笑んでいる今日この頃である。
審査員コメント
応募の主は76歳。ピアニスト・東誠三氏のファンクラブのホームページづくりに何度もチャレンジしては挫折してきたけれど、ついに「とりあえずHP」と出会い、完成・公開へと至るまでの道程が、よどみなく綴られています。何かを始めるのに遅すぎることはない、と言いますが、実際のハードルは高いもの。このエピソードは多くの方に勇気と希望を与えることでしょう。できあがったホームページのクオリティも素晴らしい!
安全塗料株式会社 溝口 一成 様
作品タイトル:マグネットが着く壁紙と実用性のあるマグネットアイテムの開発エピソード
開発のきっかけは
弊社は住宅メーカー様に室内壁面用のペイント下地紙(商品名:ワンダーペーパー)を供給しているメーカーなのですが、3年ほど前に弊社のペイント壁紙に「マグネットペイントを塗ってマグネットを付けたい」とのリクエストがありました。
このペイントは5年ぐらい前からDIY向けに多くの塗料メーカーがホームセンターやECで販売しているのですが、どの塗料も磁石の着く力が弱く、実際の実用性には程遠い製品でしたのでリクエストにはお答えできないとお断りしていましたのですがその後、多方面からいくつもの同様のリクエストを頂きましたので何か代用できる案は無いかと考えていましたところ、弊社のワンダーペーパー自体に磁性体が吸着する性能を付加できないものか?と考えるようになりました。
そこで、当初スチールペーパー(厚みの薄い鉄製のシート)に紙を貼り付けてみたり、その他いくつかの方法でトライをしたのですが、どれも吸着力や作業性の面からも実用できる製品には程遠く、半ばあきらめモードでした。
そんなある時、自動車の初心者マークを思い出したのです。初心者マークの場合はそれ自身がシート状のマグネットですので自動車のボディーに吸着するのですが、今回は逆ですので鉄の成分が入った樹脂シートに弊社のワンダーペーパーを貼ればうまくいくのではないかと思いまして専門メーカーに依頼したところ丁度よい厚みで柔軟性のある素材を見つける事が出来ました。と、ここまでは良かったのですが実際に試作してみるとワンダーペーパーの厚みが原因で実際の吸着はさほど強くない事がわかりました。しばらく悩んでいたところ今度はワンダーペーパーの製造元から、紙素材ですので高圧縮を掛ければ薄い紙に仕上ることが出来ますよ、とアドバイスをもらい早速試したところとても良い測定値が出たため製品化にこぎつけました。
そしてその後、業務用だけでなくDIY向けに裏面に延着シールを付けて一般の方がご自宅のビニールクロスの上に貼って使える手軽な商品もラインナップする事が出来ました。そして現在はこちらのタイプが主力の商品となってしまいました。
DIY向けはやはりSNSなどでの広がりがあり、壁に貼るだけでなく樹脂シートの製品なのでハサミで手軽にカットして好きな形やサイズにしてアイテムを作ったり、仕上にチョークボード塗料を塗ってマグネットが着く黒板をお子さんに作ってあげたりといろんな方が出てきました。
現在は、1mから2.5mまでのロール上で販売している商品に加え、450mmのスクエアで
22色の塗装を施した商品として東急ハンズやECで販売していますが、昨秋のジャパンホームショーにオファーを頂きまして出展したところ、ディノスやテレビショッピングなどからのお声がかかり準備をしているところです。
振り返れば、ひとつのユーザーリクエストの解決策を探した結果、ひとつの商品開発につながり、その結果生み出された横展開の商品が、新しい媒体からのオファーを受ける結果となりました事、本当に良い経験が出来ましてうれしい限りです。
現在は、さらに荷重の掛けられるマグネットアイテムで壁面に着く家具を製作しブラッシュアップしているところですが、今後もペイントのカラーとマグネットを使った室内インテリアの新しいスタイルを作りたいと思っています。
審査員コメント
「マグネットが付く壁紙」を開発・販売する安全塗料株式会社さん。お客様の声に実直に耳を傾け、製品をコツコツと開発する様子がよく伝わってきました。専門技術が求められる分野の商品開発ストーリーでありながら、エピソードがわかりやすく、情報的にも情緒的にもしっかり書かれています。さらには販売した結果にも触れられており、商品の開発・製造から販売まで一気通貫、広い視点から描かれていることも高評価でした。
小泉技建 小泉 大幸 様
作品タイトル:施主さんと一丸となって!!
私は青森県で父から受け継いで建築業を営んでいるものです。いわゆる大工さんをしています。どちらかというと、年間何棟というよりは昔ながらの1軒ずつ着実に建ててあるいている工務店です。なので建てる数が少ないので仕事を見つけるのにも心配でしたし、新しい顧客を見つけるのに一生懸命でした。(やや待っているのに近いのですが?)
あるときご縁みたいなものがあってある一族すべての家族の建物の仕事を頂くことができました(親子合わせて4棟と別荘1棟)。ご縁というより人を覚えていただくことができたからでしょうか。
三姉妹の中の一人がパソコンのシステムエンジニアをしている子で「私もブログをつくり英会話教室を始めるのであなたもホームページを始めてみたら?「とりあえずHP」なら費用も安く、ホームページの知識が殆どなくても自分で管理ができるので」と薦めてくれた人であります。何故、職人なので仕事をするのも好きですし、木造としての木組みも見てもらいたいのもありました。あと一番としては今までの建ててきたものを見て欲しいのが率直なところです。
一歩ずつですが、小泉技建のホームページの地図を見て来る人が出没してきてます。その中で昨年ですが、ゴールデンウィークに地元の八戸に帰省しに来てたのかな?、住宅完成見学会を開いたときに自分の事務所に関西の方の大学の先生がいらして「ここの地域の家のデザインではないね」というお言葉を頂き、その時は少し嬉しかったです。最近になってからですが、徐々にホームページを更新したり、ただ施工事例を載せるだけではなくて自分の建物を説明をするために言葉を使うようになって面白味がでてきて、外観と内観をデジカメで撮ったり、その後のホームページの閲覧履歴を見るのが楽しみです。
以前にも増して、見るとおり大手ハウスメーカーとは掛け離れてアイランドキッチンの後ろに無垢の栗の階段があったり、壁掛けテレビの一面に杉の羽目板が貼ってあったり、お客さんの個性が溢れでている家づくりになってきました。外観のデザインも勿論のこと、建物の中には何処か住んでいる人の心を落ち着かせ、懐かしさを感じさせるところを含めたモノが欲しいのだと思います。図面はあるのですが、あってないような行き当たりばったりの仕事ばかりですが施主さんと一丸となってやっています。小泉技建のホームページで職人さんと施主さんの心情が上手く伝わっているでしょうか、良かったかどうだかわかりませんが施主さんが喜んでいるのでいいのかな?ちょっとハズかしいのですが、素晴らしい家族に会えてよかったです。
審査員コメント
青森県五戸町の工務店・小泉技建さん。文体からは誠実で前向きなお人柄が伝わってきます。施主さんと二人三脚、大手ハウスメーカーにはできない仕事をされています。小泉さんが「とりあえずHP」に出会い、初めてホームページをつくり、そこから新しい出会いが1つ、2つ、と広がっていく様子、だんだんとコンテンツを充実させることにはまっていく様子をエピソードを通じて追体験し、私たちも励まされる思いがしました。
渕上畳店 渕上 学 様
作品タイトル:これまでの固定概念からの脱却
父が創業して45年。私(56歳)が後継者として手伝いはじめて38年経過します。
人口約2万4千人の熊本県水俣市で、家族で営んでいる個人経営の小さな畳店です。
昨今の住宅事情は洋風化が進み、和室が著しく減少しています。
同時に、それまで当たり前のように存在した和室に関係する職種の仕事も減少の一途をたどり、これらに関係する職人も減少しています。
当店の仕事でもある「畳」も同じで、次第に仕事量も少なくなっています。
このような問題を少しでも改善すべく、以下の項目に取り組むことといたしました。
1.これまでの固定観念を取り除き、新たな発想とアイデアで新規商品開発を行う。
私の住む熊本県はイ草の畳表(たたみおもて)の生産量が日本一(全国の98%以上が熊本県八代市地域で生産されています)でありながら、その市場の減少から、年々厳しい状況になっていることからも、微力ながら少しでも振興に寄与できればとの思いで、そのイ草の畳表を利用した商品構成で、主に女性を販売ターゲットとして、アクセサリーや雑貨などを手づくり販売しています。
昨年からフェイスブックやインスタグラムで紹介をはじめたところ、少しずつ反応をいただけるようになりました。
時には団体様より退職者向けの進呈品として使いたいとの事で数十個のまとまった数の注文をいただくようになりました。
先月は、熊本県の地方新聞(熊本日日新聞社)主催の「ものづくりコンテスト」に畳素材のアクセサリーで応募したところ、第一審査でエントリーされ、今週末に最終審査を受けます。
また、最近は九州エリアでの「マルシェ」への出店のお声掛けもいただくようになり、来週から福岡(博多)の地で初めての出店となります。
このように、メインの仕事でもある住宅の畳工事以外のところで、畳屋さんが活躍するステージが展開できることは、数年前の私には想像もつかない事でした。
2.日本の畳文化を外国人向けにアレンジ展開する。
昨今の日本は、東京五輪開催の影響も追い風に、インバウンド向けのビジネスが盛んに行われています。
そこで日本独自の「畳文化」をPRする事はすごくインパクトや効果があるのではと考え、外国人向けをターゲットとした販売戦略を考えています。
10数年前にJICAの事業でブラジルに技術指導員として参加しましたが、多くの日系人の方々が暮らしている国ということもあり、畳の文化も存在していました。
私の住む水俣市にも、世界各国から環境関連の交流をはじめ来られています。
これまで何度か当店で畳を題材に交流会やものづくり体験をしていただいた事もあります。
これとは別に、今現在は社会情勢が悪いので企画自体がストップしていますが、香港にあるディズニーランドで畳とディズニーのキャラクターとのコラボでの商品展開をしたいので協力してほしいとの話があっています。
このように、「畳」が外国人向けの販売素材として、大きな可能性を持っていることが現実化してきていますので、このようなチャンスを可能な限り具現化していきたいと考えています。
以上のように、これまでの固定観念からの脱却を念頭に、「敷く畳」(畳は家に敷くモノ)から「身に着ける畳」(畳を身に着けても良いじゃないか!)までとしての発想で広く提案・展開していきたいと考えています。
審査員コメント
畳という日本文化を守りつつも、固定概念にとらわれない商品開発を行っている様子が伝わるエピソードでした。畳の生産・販売から一歩踏み込み、イ草を利用した独自の商品を作るという挑戦には、クリエイティブな発想はもちろんのこと、実行する勇気と、継続する情熱が求められることでしょう。オリンピックもあり、外国の方の日本文化への興味も高まっています。ぜひ風に乗って挑戦の継続を!今後の展開に期待しております。
三郷町生き生きクラブ連合会 谷口 利広 様
作品タイトル:高齢者の会 会員増強をめざして飽く無き挑戦
高齢者の会の会員数減は、都市部・地方を問わず全国的な傾向である。私のところでも例外では無い。主たる要因は、個人主義の横行である。「群れなくとも支障ない」と考える方が増えている。若い層の入会が、とにかく少ない。一方で、自然減が進む。施設に入所される方も多い。どの会も、純増1名が至難の技となっているのだ。「全国老人クラブ連合会」では、この5年間「百万人増強運動」を展開したが、結果は「百万人減」という惨憺たるものとなった。役員を務める者は会員増強の難しさを痛感しときに挫けそうになるが、このように厳しい状況であってもけっして諦めてはならない。
会員増強のためには、あらゆる手段を駆使して会を活性化する必要がある。ここ数年、実行した事(している事)を披瀝する。
先ず一つ目は、会名称を変えた事だ。これまで、本連合会の名称は「三郷町老人クラブ連合会」であった。これを三郷町生き生きクラブ連合会(以下、三生連)とした。勧誘の際、「私は、老人ではない」と言われないようにしたのである。二つ目は、会報「矍鑠」(かくしゃく)を創刊したことだ。3~4ヶ月に一度発行している(私の支部では、支部会報「燦燦」を毎月発行)。今では、三生連に欠かせないものとなっている。90歳超の方にも寄稿いただける。
次に、幾つかの支部では「茶話会」を始めた。自治会館に集まり、菓子とお茶でいろいろと話し合う。故郷の事、幼き頃の思い出、好物などを。続いて「散歩会」の実施である。毎週金曜日の朝、「ラジオ体操」の後、45分から1時間程度を歩く。6時30分からの「ラジオ体操」は、平成27年10月からの開始で、4年2カ月以上、1日も休み無く続き(雨天時は、自治会館内)、諸団体から受賞が相次ぐ。毎朝の「ラジオ体操」を生き画としている方が多い。
六つ目は、年末の防犯見回り活動を始めたことだ。12/28からの3日間、「火の用心、戸締り用心、火の用心」と4~6人で回る。「高齢であっても、できることは積極的に担おう」が、本連合会のモットーだ。
七つ目は、「行事参加ポイント制度」を取り入れたことだ。行事に参加した場合、予め定めたポイントが獲得できる。年度末に集計し、上位者を総会時に表彰している。
今年度は、「三生連」のホームページを開設した。周りには、「ホームページが出来たのでスマホに変えた」と言う方も少なく無い。管理者である私も、これからもっともっと学習をして、よりよいものにして行く。これらはどれもささやかな取り組みだが、とにかく、知恵を出し合って活動を活性化し、会員増に繋げることが求められる。今後も「意志あるところに道は開ける」ことを信じ、飽くこと無く可能性を求めたい。先ずは、小さな一歩からだ。
審査員コメント
高齢者の会の会員を増やすために取り組んだ「7つの小さな挑戦」を報告してくださいました。地域活動にも積極的に取り組み、チャレンジを続けている様子に励まされる思いが致します。結果も少しずつ出てきている様子。次のステップとして「小さな挑戦」を通じて、役員の方々や会員の皆さんの「感情」や「価値観」にどんな変化があったのか? が知りたいところ。継続していけば、必ず道が開ける。会の発展を私たちも応援しています!
有限会社ONE OFF PRO 高木 浩行 様
作品タイトル:To the Future of Beloved Animals
私のお仕事は歩けなくなったり、不慮の事故で立てなくなった動物達の歩行器具の設計、製造、販売をしております。日々お困りのお客様のメール、電話相談対応が沢山来る日々です。その中でもダントツなのが高齢犬の寝たきり状態。年々食べ物が良くなり犬や猫の寿命が延びて来ていますが、介護、介助に伴った用品や器具などの開発が遅れている現状があります。その中でも寝たきり症状に関しましては解決策が殆どありません。
つい最近この様なお客様が来ました。お客様が言いました、お願いがございます、この子、もう一度立たせて散歩する事は可能でしょうか?私は昔から犬のいる環境で育ち家族でも息子でもあるの、だから私のエゴかもしれないけどもう一度立たせてあげ犬生を楽しく私も悔いが残らない事をしてあげたい と。
なんとこの老犬、人間で言えば90歳近いおじいちゃんなのです。そんな子を無理矢理立たすなどして大丈夫な物かと私はお客様の前で考えてしまい、しばらく無言状態が続き、そして言葉を選びながらお客様に私は伝えました。
老犬が疲れ立ち止まった状態になった場合、直に歩行器からおろし休ませてください。そのことを条件とし製作は可能ですと、お伝えいたしました。本来なら老人と同じく寝てゆっくりしたいのでは、またこの様な器具は人間が勝手な理論と理屈で商品化し動物達にとっては迷惑なのかもしれないと私も感じている部分もありました。それでも私は4本足で立ち、その器具を利用し歩いてほしい、そして本来の犬であってほしい、製作する立場としてはただそれだけなのです。
いよいよ採寸表を基に製作が開始されました、当社での商品名は立位保持器具と言い専用ハーネスに4本の足を穴に入れ金属フレームに取り付ける歩行器具です。最初はミシンでハーネスの製造、その老犬用にキッチリ合う様に無駄無く製作いたします。そしてそのハーネスを取り付ける金属製のフレームの設計、製造、前足がぶつからない様に角度をつけ広げ後ろ足も同様にスポンジなど張りつけ型ちにします。先ずは一度お客様に完成した事をご連絡し1回目の調整の時、乗せてみたのですが何故か一歩も動かず、お客様もピッタリ合っているのに何故歩かないの?と老犬の顔を見合わせ一体なにがいけないのかしらと問いつめ、私も動画を撮りながらその疑問を探り答えの導きに一心不乱し、ある一つの事が気になり始めた。力なくした顔と首が下を向き息苦しい表情をしていた事に気づき、とりあえずこの日は御引き取りいただきました。
改造する策を動画で見直しました、そして考えに考え導いた方法はアゴの下に枕状の柔い物を置く台の製作でした。これであれば首が下になる事は無く固定され歩きやすくなるはずでは!直に製作し完成、2回目の調整日に奇跡が、立位保持器具に乗せアゴの下に来る様に追加で製作した枕を設置するとアゴ部は見事に本来の高さまで固定され振らつきも無く、眼光鋭く一点を見つめ、一歩また一歩歩き始め、それを見たお客様 あるいた、歩いた、歩いたわ、高木さん、やったわ と言いながら涙であふれ、私に何度も何度も、ありがとうございますと叫んでおりました。
私も数多くの案件の中で一番大変ではありましたが凄く幸福感に包まれた事は今でも忘れません。今ではその老犬その立位保持器具を使いお外に散歩出来る様になりました。また命尽きるまでその器具をお使いいただき、お散歩楽しんでいただきたいです。この度の件もほんの少しの気遣いや思いやりだったと思います。考えはシンプルに答えは近くに直ぐ近くにあるのかもしれません。そして私は走り続けます。
愛する動物達の未来へ。
審査員コメント
昨年度の大賞受賞者、ONE OFF PROさん。そこからさらに、日々、工夫と努力を積み重ねているエピソードをお寄せくださいました。動物用の車椅子の製造・販売を愛情をもって継続されている様子が感じられます。「自力で歩くこと」を諦めていた老犬が、ONE OFF PROさんの工夫と飼い主の方の愛によって、一歩踏み出す。その情景を思い浮かべたときに「人間も捨てたもんじゃない」と純粋に思える気がしました。
おまかせプラン特別賞
2019年7月に、本格的にサービスを開始した「とりあえずHP おまかせプラン」。おまかせプランでは、ホームページはプロが作成を担当します。そこで「おまかせプラン」をご利用のユーザーの方のご応募につきましては、審査基準の「ホームページのクオリティ」を考慮せず、エピソードの内容のみで審査を実施。優れたエピソードに対して、「おまかせプラン特別賞」を授与することに致しました。
※ おまかせプランは、ホームページづくりのプロが「とりあえずHP」を使ってお客様のホームページを作成するプランです。無料の説明会も実施しておりますので、詳しい内容を知りたい方は とりあえずHP「おまかせプラン」特設ページ をご覧ください。
みらいみゆきコンサルタント事務所 大場 美由紀 様
作品タイトル:ファイナンシャル・キャリアコンサルタントとして相談者に寄り添う
私は、キャリアコンサルタントとして多くの相談にあたり、転職や再就職を考える方々の話に耳を傾ける中で、キャリアコンサルタントとしてのスキルや知見だけでは物足りなさを感じるようになり、ファイナンシャルプランナーの資格を通信講座で学び取得しました。
これは私にとっての「小さな挑戦」であると同時に、自分自身へのリベンジでもありました。新卒で入社した会社を辞めて税理士試験の勉強を始め、2年後に3科目合格とともに第1子を出産しました。その後は、3人(長男は先天性の心臓病で亡くなりました)の子育てで勉強どころではなくなり、残り2科目にチャレンジすることなく過ごしてきてしまいました。育児のかたわら、自宅でできる仕事がしたいと考え、全く異なる教育の分野で校正業務をしていた時期が何年もあります。そのころに比べれば、起業もし、各段に仕事に情熱を傾ける生活となりましたが、まだ自分の求めるものにたどり着けない気持ちからファイナンシャルプランナーの資格取得に至った経緯もあります。
キャリアコンサルタントとして相談を受けるとき、本来アドバイスをするというよりは、相談者の悩みに寄り添うということに主眼を置きます。確かに、相談者の話を傾聴する中で、相談者自身の中にある想いや答えに自身で気づいていただくのが、考え方や見方を変えて解決の糸口を見つける上で非常に有効な方法ではあります。しかし、傾聴だけでは、相談者が見落としている重要な要素に気付いてもらうことが難しいケースがあります。特にお金のことです。経済的な問題は、素人的な漠然とした見立てではあまりにも心もとないと感じています。しっかりした根拠を持ってこれから先を見据えて具体的に考えていくことが、経済的な面を考えていくとき必要だと思います。単にやりがいや生きがいに目を向ける考え方だけでは、100年ライフを老後になって経済的な不安を抱えて生きることになる可能性も高いと考えています。
現在は、キャリアコンサルタントとファイナンシャルプランナーという二つの専門分野から相談者に向き合っています。また、マネープランの講座やワークショップでお話ししたりもしています。「もっと頑張れる気がしてきた」「長期的な視点で考えた時このままではいけないことに気付けた」「これまで見落としていた視点からの言葉に目からうろこが落ちた気がした」など、うれしい感想を多くいただいています。
今後もできる限りたくさんの方とのご縁を通して、その方の人生の羅針盤に少しでもよい影響をもたらせる身近な存在でありたいと願っています。
審査員コメント
みらいみゆきコンサルタント事務所さんは、キャリアコンサルタントとファイナンシャルプランナーという2つの専門的な資格の掛け合わせにより、相談者の人生を支援しています。育児のかたわら悩みながら生きてきたことがエピソードでは示唆されており、ご自身の経験が今の仕事に生かされていることが感じられます。日々「学び」を続けながら、真摯に相談者に向き合う姿がくっきりと浮かび上がる、素晴らしいエピソードでした。
メディカルライフカンパニー 菊地 雅子 様
作品タイトル:病院の仕事で出会った人達が与えてくれた新たな目標
私の会社は、看護師と介護者2人で訪問し介護支援と家事代行サービスを切れ目なく、リーズナブルな金額でサービス提供する会社です。
この会社を設立しようと思ったきっかけは、病院に勤めていた際、退院間近の患者様が、本来病気が治り喜ぶはずのところ、不安で浮かない顔をされている方に多くお会いした事から始まります。
「どうしたのですか?」とお声をかけると「本当は家に帰りたいのだけれど、家族も忙しく迷惑もかけたくない。でも、介護サービスだけでは一人で生活できないから不安なの。かといって、他にお手伝いしてくれる人もいないし、高いお金も出せないし。」と途方にくれた声を多く聞きました。
退院後、ご家族が患者様を自分の家でみたいと思っていても、手助けしてくれるサポート環境が整わず泣く泣く施設に入所された方も多くみました。
また、目が不自由な患者さまには「お金はいくらでもはらうから、一緒に住んでくれないか、たまに困った時に手伝ってくれるだけでいいから。施設にはまだ入りたくない。」と真剣に相談してこられた方もいらっしゃいました。
住みなれた家に帰りたい、決して贅沢な願いではないですが、介護サービスと年金などの資金のなかで助けてくれる会社がなかなか見つからないのも現状でした。
切実に悩んでいる方々の相談を聞いている間に、自宅に帰れるのに環境が整わず自宅で過ごせない方々のお手伝いがしたい。そのような思いが強くなり起業するに至りました。
しかし、困っている方々のお役に少しでもなればと思い起業したものの、起業したばかりの会社を認知してもらい利用に結びつける事が難しいという現実に直面しました。最近は、スーパやコンビニ等に広告を張らせていただき、それを見た方がとりあえずHPさんの作成してくれたホームページを検索されるなどして、少しずつ認知されるようになってきました。
先日、当社をご利用いただいた利用者のお一人が亡くなられました。利用者様は夫を自宅に帰すサポートをしてほしいと利用を開始されました。
自宅に帰れるように病院のスタッフの方と相談しながらご自宅の準備をしていた最中に状態が悪くなられ、自宅に帰ることなく亡くなられてしまいました。私達は約束を果たせず、なにもしてあげられなかったのではないか?もっと早く会社を立ち上げお手伝いができていれば一度家に帰してあげることができたのではないか?ご家族の役に立つことができたのだろうか?この会社を立ち上げたことは自己満足でしかなかったのではないか?と悩みました。しかし、奥様から「短い時間ではあったけれど、頻回にきて相談にのってもらえて本当に良かったです。自分だけでは対処しきれなかったこと、わからない事も相談しアドバイスをもらえたので本当に助かりました。夫は亡くなってしまったけれど今度は私が会員に入らせてくださいね。これからも頼りにしています。」とおっしゃっていただけました。お手伝いできた時間は短くはありましたが、奥様からいただいた言葉を聞いて、会社を設立したことは間違っていなかったのだと感じることが出きました。
起業したばかりで、家事代行・介護サービスという利用者様のプライバシーに関らせて頂く仕事の中で信頼・安心感を得ることは簡単ではなく、まだまだ模索中で難しい点も多くあります。しかし、環境が必ずしも整っていなくても、自分が望む生活を安心して過ごせるように、その一端を担うことができるよう挑戦はまだまだ始まったばかりです。初心を忘れずに挑戦し続けていきたいと思っています。
審査員コメント
エピソードの冒頭「私の会社は、看護師と介護者2人で訪問し介護支援と家事代行サービスを切れ目なく、リーズナブルな金額でサービス提供する会社です。」この一文で、メディカルライフカンパニーさんの事業が社会的意義の高いものだということがよくわかります。「あなたの第二の家族に」という言葉に、どれだけ多くのご家族が勇気付けられることでしょう。お客様のために、という強い思いが大いに感じられるエピソードでした。
審査員長総評
「とりあえずHPエピソード大賞2019」へご参加いただき、誠にありがとうございました。また日頃から「とりあえずHP」を支えていただいている全てのユーザー様にも重ねてお礼を申し上げます。
今回で5回目となる本アワード。「小さな挑戦」をテーマに、たくさんのエピソードをお寄せいただきました。回を重ねるごとに作品のレベルがどんどん上がっており、今回もハイレベルな作品が数多く集まりました。審査員一同で、全作品を拝読させていただきました。代表してお礼申し上げます。
私たちが暮らす日本は、急速に人口減少の時代を迎えています。また、「人生100年時代」とも言われる超高齢化社会がすぐそこに待ち受けています。終身雇用という概念も確かではない今、自分らしい生き方と、仕事との向き合い方、これまでの常識にとらわれない固有の価値観を持つことが求められる時代です。
皆様から寄せられた「小さな挑戦」は、一人ひとりの個性的な人生観、自由な発想、少々の困難も楽しんで乗り越えていくという力強さに満ちていました。それは、「誰に頼まれたわけでもない、自分自身で選択した人生」そのものであり、これからの時代を示唆する生き方のようにも感じました。そして、どのエピソードからも、その人にしかないドラマがあり、大変感動いたしました。
本来、ひとつひとつのエピソードに私たちが優劣をつけるべきではなく、またそのような立場でもないことは承知の上、大変苦しみながら、作品を選ばせていただきました。受賞作品は、本アワードのコンセプトである「あなたのがんばりを栄誉に変える。」という視点から、「想いだけではなく、具体的な挑戦、実践のプロセスが描かれていること」を評価させていただきました。
受賞された方、おめでとうございます!また残念ながら選出に至らなかった作品も、本当に素晴らしい挑戦に満ちていました。一人ひとりの人生と仕事に最大の敬意を払いたいと思います。ありがとうございました。これからも「とりあえずHP」を発展させていきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
審査員の紹介と審査風景
以下4名の審査員により、審査を行わせていただきました。
お寄せいただいたエピソードはどれも素晴らしく、じっくりと拝読させていただきました。
佐野 彰彦
株式会社それからデザイン代表取締役
とりあえずHPエピソード大賞 審査委員長
磯木 淳寛
一般社団法人picobirds代表
房総メディアエデュケーションプロジェクト発起人
守山 菜穂子
株式会社ミント・ブランディング代表取締役
ブランドコンサルタント
永井 史威
株式会社それからデザイン執行役員
Webディレクター
ご応募ありがとうございました!
審査員コメント
“本業”である接骨院で、患者さんからスモークチーズをもらったことをきっかけにハマったスモークチーズづくり。「好き」から始まったことを夢中で突き詰めていく様子に、強く共感しました。エピソードでは、「乳製品製造業」の許可を得るためのハードルを奥様とともに苦労しながら超えていく様子など、挑戦の内容が具体的に描かれていた点を高く評価致しました。また、その挑戦を通じて、自分自身の内面が変わっていった、という気づきは、百井さんのこれからの生き方を大きく変えていくことでしょう。趣味から副業へ、という流れは、日本社会の「新しい働き方」の一つになりそうですね。
審査員:磯木 淳寛
孤独だった接骨院の経営者が、副業として「スモークチーズづくり」を始め、やがて感謝の感情を持ち始める。とてもいいエピソードだなと思いました。創業のための「小さな挑戦」と、市場(マーケット)の研究。内と外への向き合い、両方を積み重ねているところに、この方の力強さを感じます。
ホームページ作りにおいては「とりあえずHP」をベースに、Instagramやstores.jpといった他のツールを連携して活用している点を評価。また写真やパッケージデザインにこだわっている点は、ブランディングの観点から加点評価しました。
ちなみに、「骨のあるスモークチーズ屋さん」の「骨」という言葉。これはもともと百井さんが「接骨院経営」だからですよね。その命名のエピソードをホームページに掲載すると、独自性がさらに際立ち、より良くなると思いました!
審査員:守山 菜穂子
受賞者コメント
この度はとりあえずHPエピソード大賞2019グランプリという栄誉ある賞を頂きありがとうございます。
このような賞を頂けましたのも私一人の力ではなく、いつも隣で支えてくれる妻の存在、そして、スモークチーズ事業創業に際しお世話になった全ての方々のおかげだと思い感謝しています。
弊社のスモークチーズ事業の理念の一つに『本物のスモークチーズの普及』という事があり今回、その思いを伝えるための第一歩としてホームページの制作にあたりましたが、自分の思いや追及の姿勢、揺るがぬ理念を改めて言語化することで自分の信念を再確認すると共に、その楽しさのあまり自分でも驚くほど没頭しホームページの制作にあたったことを覚えています。
これからも頂いた賞に恥じることのないよう、お世話になった方々への感謝と楽しむことを忘れず本物のスモークチーズの追及を続けていきたいと思います。
最後になりますがこの場をお借りして、私に関わってくださる全ての方に感謝申し上げます。この度はありがとうございました。
骨のあるチーズ屋さん(株式会社ももい)/ももい接骨院 百井 和浩 様